鉄道唱歌 奥州・磐城編の歌詞を、わかりやすく解説してゆきます!
鉄道旅行を楽しむためのノウハウを、初心者でも楽しめるよう解説してゆきます!
↓まずは原文から!
凾館までは二十四里
ゆきかふ船の煙にも
國のさかえは知られけり
さらに読みやすく!
函館までは 二十四里
ゆきかう船の 煙にも
国のさかえは 知られけり
さあ、歌ってみよう!
♪はこだてまではー にじゅうより
♪ゆきかうふーねの けむりにもー
♪くーにのさかえは しられけりー
盛岡駅→好摩駅→岩手川口駅→いわて沼宮内駅→奥中山高原駅(旧・中山駅)→小鳥谷駅→一戸駅→二戸駅→目時駅
(青い森鉄道)
目時駅→三戸駅→八戸駅(旧・尻内駅)→三沢駅(旧・古間木駅)→野辺地駅→浅虫温泉駅→野内駅→青森駅
※鉄道唱歌に関係ある主要駅のみ抜粋(便宜上、各ターミナル駅や新幹線停車の主要駅なども併記)
津軽海峡の向こうは、北海道・函館
青森まで来たら、津軽海峡を間にして北海道や函館はすぐそこになります。
歌詞の冒頭部分
- 津軽の瀬戸
とは、青森県(本州)と函館(北海道)の間にある、津軽海峡のことです。
ここでいう「瀬戸」とは、「海峡」と似たような意味で使われます。
青森と函館は約100km、約24里
歌詞にもあるように、青森まで来たら、北海道の函館まではわずかです。
1里は約4キロメートルですから、
- 24里×約4キロメートル=約96キロメートル
であり、青森から津軽海峡を隔てておよそ100kmで函館となります。
100kmというと長いように感じますが、それだけ津軽海峡は広く、また
- 北海道新幹線で、全長53kmに及ぶ青函トンネルをくぐると、約30分
- 新青森駅から新函館北斗駅までも、約1時間
かかります。
そのため、大体100kmくらいの距離感覚で問題ないと思います。
明治時代に鉄道ができて、東京~青森間は、約1日で結ばれた
鉄道ができる以前の昔(江戸時代以前)はまず北海道(蝦夷地)に行くためには、江戸から青森までの旅が大変でした(徒歩で約20日)。
しかし、鉄道ができてからは東京→青森がわずか1日あまりで来れるようになったのでした。
そのため、あとは津軽海峡を越えれば、北海道はすぐそこ、という時代に変わりました。
かつて青森~函館を結んでいた、青函連絡船

青森駅の北の、津軽海峡に面した景色。奥にある白と黄色の大きな船は、青函連絡船「八甲田丸」。
青森駅は海の方向に線路が延びていますが、昔は
- 青函連絡船
といって、列車ごと船に乗せて函館まで運んでいました。
現在でも青森港に停泊する、青函連絡船「八甲田丸」
現在でも、
- 青函連絡船「八甲田丸」
という、白と黄色の大きな船が青森駅から少し北へ行った桟橋に保存展示されています。
線路が船の中まで続いているため、列車ごと船に乗せていた形跡がわかります。
1988年に青函トンネルが開通すると、青函連絡船はその役割を終えて、終了しました。
1954年に起きた悲惨な事故・洞爺丸沈没事故
また1954年には、津軽海峡で台風のために青函連絡船が沈没するという、
- 洞爺丸沈没事故
という悲惨な事故が起きています。
- 当時はまだ、天気予報の技術が現代と比べて、発達していなかったこと
- 台風の進路を十分に予測できなかったこと
- 船長の天気予測の過信
などの要因により、招いた結果となりました。
洞爺丸事故の教訓
この悲惨な事故を教訓に、
- 船の出港の判断は、船長の独断や主観ではなく、合議制になった
- 天気予報の技術も発展することになった
のでした。
洞爺丸事故を受けて、青函トンネル建設の機運が高まる
さらに、当時から構想のあった青函トンネルを、より早く実現させたいという契機にもなりました。
そして、地質調査など人々の努力の結果もあって、1988年は青函トンネルが開通するのです。
それと同時に、役割を追えた青函連絡船は廃止となるのでした。
津軽海峡の寂しさを歌った「津軽海峡・冬景色」
冬の津軽海峡を青函連絡船で渡るもの寂しさを歌った有名な曲として、石川さゆりさんの
- 津軽海峡・冬景色(つがるかいきょうふゆげしき)
という曲があります。
この曲は、日本の演歌を代表するような曲ともいえるかもしれません。
誰もが一度はどこかで聴いたことある曲です。
昭和を代表する演歌歌手・石川さゆり さん
石川さゆりさんは、1970年代~1980年代を代表する、女性演歌歌手です。
デビューは1973年であり、当初はなかなかヒット曲が出なかったそうです。
しかし、1977年の19歳のときにリリースした「津軽海峡・冬景色」が大ヒットしたことにより、日本を代表する演歌歌手になりました。
また、静岡県の伊豆半島の真ん中あたりにある天城峠を越える様子を歌った「天城越え」という曲も、石川さゆりさんの曲です。
女性の切ない気持ちを歌った、津軽海峡・冬景色
「津軽海峡・冬景色」では、
- 上野を出発した夜行列車を、冬の青森駅で降りて、
- 当時はまだ青函トンネルがなかったため、
- 青函連絡船に乗って、北海道へ帰る
という、女性の切ない情景を歌っています。
青森駅から連絡船に乗る姿を描く、 津軽海峡・冬景色
以下、参考までに「津軽海峡・冬景色」の歌詞を引用します。
作詞:阿久悠
作曲:三木たかし
北へ帰る人の群れは誰も無口で 海鳴りだけをきいている
私もひとり連絡船に乗り
こごえそうな鴎見つめ泣いていました
ああ津軽海峡・冬景色
見知らぬ人が指をさす
息で曇る窓のガラスふいてみたけど
はるかにかすみ見えるだけ
風の音が胸をゆする 泣けとばかりに
ああ津軽海峡・冬景色
(※繰り返し)
当時(1977年)は、前述のようにまだ青函トンネルが開通する前だったのでした。
そのため、
- 東京の上野駅から、
- 北海道方面へ向かう前提の夜行列車に乗り、
- 青森駅で降りたら、雪の景色で真っ白だった
という情景が、容易に想像できます。
そして、北海道方面へ帰る人々の群れが、徒歩で青函連絡船に向かう様子が描かれていることも容易に想像できます。
歌詞に出てくる「竜飛岬」とは?
歌詞にある「竜飛岬」とは、津軽半島の最北端にある岬のことです。
竜飛岬は北海道最南端の白神岬と距離が近いため、南へ帰る渡り鳥の中継点となります。
渡り鳥とは、夏を涼しい北海道で過ごし、冬は暖かい南へ帰る鳥のことをいいます。
渡り鳥も、飛びっぱなしでは疲れます。
そのため、
- エサを確保したり、
- 就寝したりする
ための場所が必要となってきます。
そのため、竜飛岬や白神岬は渡り鳥にとって重要な場所になるわけです。
本州最北端の岬は「大間岬」
なお、本州最北端となる岬は竜飛岬ではなく、津軽半島とは反対側の、下北半島の
- 大間岬
になります。
歌詞「竜飛岬は、遥か遠くに霞んで見えるだけ」という寂しさ
歌詞では、青函連絡船に乗っている他の客が
と言って、会話しているわけです。
しかし、それを聞いて自分もどれどれと窓を拭いてみたけど、ただ虚しく遠く霞んで見えるだけという、ある種の空虚さや寂しさのようなものが感じられますね。
失恋を思わせる、悲しく寂しい歌詞
ただこの曲だけ聴くと、まるで津軽海峡を越えることが悲しく切ないような印象を受けるかもしれません。
しかし、歌詞には
とあり、恐らくこの内容から察するに、
ことで、寂しさを演出していると思われます。
そのため、実際の津軽海峡を渡ることが必ずしも寂しいわけではないことに注意しましょう。
青森は、必ずしも寂しい場所というわけではない
また、曲の内容がいかにも寂しい感じの雰囲気ではありますが、青森の日常や風景などと必ずしも一致しないことにも注意しなければなりません。
というのも、実際に青森へ行ってみればわかりますが、青森は思った以上に寂しい場所ではないものです。
むしろ、この後紹介しますが、津軽海峡を渡って北海道へ行くには、様々なワクワクな方法があります。
むしろ、津軽海峡を越えるときは、是非ともワクワクする気持ちで渡りたいものですね!
津軽海峡を行き交う船 ますます栄える国の文明
話を鉄道唱歌に戻しますが、歌詞には
国のさかえ(栄え)は知られけり」
とあります。
これは、
- 船の煙が多いということは、
- それだけ海の交通の往来が盛んであり、
- その分国の経済活動が活発である
- つまり、国の栄えが伺える
という意味になるでしょう。
この「知られけり」とは、知識として知っているという意味ではなく、古語で「わかる」「伺える」などの意味になります。
つまり、船の煙の多さ、船の交通の多さから国の発展がわかる(伺える)、という意味になります。
青森から函館(北海道)へ移動する、様々な方法
さて、今回の鉄道唱歌の旅程では北海道(函館)方面へは行かないのですが、一応、青森から函館への移動方法をいくつか簡単に解説しておきます。
北海道&東日本パスの特例で、新幹線に乗る
- 北海道&東日本パス使用
- 新青森~新函館北斗間・発着限定
- 新幹線特急券の4,000円を、追加で払う必要あり
- 約1時間
最もコスパのよい移動方法だと、個人的には思っています。
新幹線追加料金の4,000円が高いか安いかは人それぞれですが、私は「4,000円で新幹線に乗れるなんてラッキー」と思っています。
新青森駅を出発し、津軽半島を時速200km以上で突き進んでいく新幹線は、爽快です!
また、青函トンネルに入ると車内でアナウンス(青函トンネルの解説)がなされるなどのおもてなしもあります。
青函トンネルは約53kmと長く抜けるまで約30分かかりますが、木古内駅を過ぎると、そこは雄大な北海道です。
青春18きっぷオプション券を使う
- 2,490円でオプション券追加購入
- 約9時間
- 様々な制約あり
青春18きっぷユーザーのための救済措置です。
新幹線は、奥津軽いまべつ駅~木古内駅の区間に限って乗車できます。
しかし制約がかなり多く、下手したら、丸一日かかる移動方法です。
例えば、
- 奥津軽いまべつ駅の新幹線の停車本数は、昼間は3~4時間に1本
- 道南いさりび鉄道では、途中下車不可
などの、様々な制約があります。
以下が、最も早く便利な旅程ですが、2025年現在、正直あまりオススメできません。
11:01 青森発 津軽線・蟹田行
11:38 蟹田着
14:06 蟹田発 代行バス・三厩体育館行
14:35 津軽二股着
(→奥津軽いまべつ駅へ徒歩で移動)
17:01 奥津軽いまべつ発
北海道新幹線はやぶさ23号・新函館北斗行
17:34 木古内着
19:10 木古内発 道南いさりび鉄道・函館行
20:16 函館着
以前は、各駅での待ち時間がそこまで長くは無く、函館にも16時台には着いていました。
しかし、さすがにここまで長いと、ちょっとオススメはしにくいといえます。
ただ、駅での待ち時間がめっちゃ長い分、駅や周辺の散策は、思う存分にできます。
- 「津軽線に乗りたい」
- 「蟹田駅・奥津軽いまべつ駅・木古内駅と、その周辺の探索がしたい」
- 「道南いさりび鉄道に乗ってみたい」
という楽しみ方ができる人は、きっと丸一日、面白い旅になるでしょう。
しかし、ただ安く移動したいだけの人にとっては、丸一日厳しい移動になるかもしれません。
津軽海峡フェリーを使う
- 約3,000円
- 約5時間
船を使うという、比較的安く、シンプルな移動方法です。
青函連絡船とは違いますが、津軽海峡を船で渡ることには変わりません。
そのため、先述の石川さゆりさんの曲「津軽海峡・冬景色」の雰囲気も味わえるかもしれません。
近年は石油価格の高騰で、値段は上昇傾向にあるものの、約3,000円~4,000円程度の値段でいけます。
所要時間は大体5時間です。
また、船の中でも寝ても平気という人は、夜中に出発して、朝に着くというダイヤもあります。
これで宿泊費がうくため、寝られる勇気と体力がある方のみオススメです。
いずれも一長一短あります。
青森の海の眺め

青森の海。海の向こうは、北海道。(青森県青森市)
前回も書きましたが、青森駅の北側にある「青い海公園」からの陸奥湾、津軽海峡の眺めは最高です。
次回は、弘前方面へ寄り道
次は、弘前(ひろさき)方面へ、少し寄り道をします!
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